「地震に強い家」で後悔しない家づくりを
家づくりを考える際、地震への対策はとても重要です。
2024年1月1日に石川県能登半島で大きな地震が発生し、8月8日には宮崎県日向灘でも大きな揺れが起こったことは記憶に新しいところです。東日本大震災から10余年が経ちましたが、あの教訓は忘れてはいけないもので、「南海トラフ」「首都直下型地震」など地震大国の日本では地震への不安がなくなることはありません。
だからこそ、「地震に強い」家づくりをしっかりと考えることが大切です。耐震等級を軸に、地震に強い家づくりについて知っておきたいポイントをご紹介します。
1.「耐震等級」とは
まず注目するべきポイントは「耐震等級」です。
耐震等級とは、建築基準法によって定められた「耐震強度の等級」のことで、地震に対する構造躯体の倒壊や崩壊のしにくさを3段階のランクに分けて表示したものです。
最高等級は耐震等級3で、耐震等級2以上が「長期優良住宅」の認定基準となります。
<耐震等級(構造躯体の倒壊防止)の具体的な内容>
▼耐震等級1
極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力に対して倒壊・崩壊しない程度の耐震性を持つこと。建築基準法を満たすうえでの最低条件。
▼耐震等級2
等級1で耐えられる力の1.25倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度の耐震性を持つこと。病院や学校など公共性の高い施設と同等のレベルの住宅。
▼耐震等級3
等級1で耐えられる力の1.5倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度の耐震性を持つこと。防災の拠点となる消防署や警察署などと同等のレベルの住宅。
2.地震への強さには3つの考え方がある
「地震に強い」家づくりのために行われている地震対策には、おおきく分けて「免震」「制震」「耐震」の3種類の工法があります。それぞれの特徴と、メリット・デメリットをご紹介します。
<代表的な地震対策の工法>
地面と切り離して揺れを伝えづらくする「免震」
「免震」は、地震の揺れが建物へ直接伝わりにくくすることで地震の力を受け流し、揺れを少なくする方法です。具体的には、建物と地盤を切り離す免震装置を設ける工事を行います。
【免震工法のメリット】
大きな地震が発生しても免震装置が地震の揺れを吸収してくれるため、建物が倒壊しにくく、家具の転倒や躯体の亀裂など内部の被害を抑えることができる
【免震工法のデメリット】
建物の揺れを軽減できる優れた技術である一方、導入するにはそれなりのコストが必要。また、定期的なメンテナンスが必要な点や対応できる業者が少ないこともネック
装置を利用して揺れを吸収する「制震」
「制震」は、建物内部に錘やダンパーなどの制震装置を組み込み、地震の揺れを吸収して揺れを制御する方法です。建物の倒壊を防ぎ、損傷を小さく抑えることが期待できます。
【制震工法のメリット】
導入費用は掛かるものの、免震構造よりも低コストで導入できる
【制震工法のデメリット】
地盤が弱い場合は振動をうまく吸収することができず、装置本来の力を発揮できない。地盤が弱い土地の場合は、地盤改良工事などの適切な対策のうえで実施することが重要
地震の揺れに耐える「耐震」
「耐震」は、建物を強くすることで地震の揺れに耐えようという考えに基づいた工法です。具体的には、壁に筋交いを入れたり、接合部を金具で補強したりして建物の強度を高めます。住宅をはじめさまざまな建物で採用されている、最も一般的な耐震工法です。
【耐震工法のメリット】
免震や制震と比較して、特殊な工事は必要ないためコストが安い。そもそも家を建てる際は建築基準法による耐震基準を満たす必要があるため、大半の住宅で採用されている。
【耐震工法のデメリット】
建物は頑丈であるものの、繰り返し大きな地震の影響を受けることで部材の損傷が起きることがある。大きな地震が発生した後は、適切な点検とメンテナンスが大切。
3.「耐震等級3」なら安心?
では、耐震等級が高ければそれで安心なのでしょうか。
じつは、公共施設に適応される基準である耐震等級2や、最高等級である耐震等級3であれば絶対に安心!というわけではありません。なぜなら、建築基準法で定められているのは「1度目の大地震」に対しての基準だから。何度も繰り返し地震が来た場合、揺れによって金物が歪むなどして本来の力を発揮できないこともあるのです。
そこで大切なのは、大きな地震の後は適切な点検とメンテナンスを必ず行うこと。こうすることで耐震構造がきちんと機能する「地震に強い」家をキープすることができます。
さらに、耐震構造に加えて制震ダンパーの導入も検討するとよりおおきな安心につながります。
4.「構造計算」にも注目を
地震に強い家づくりのために、耐震等級とあわせて注目したいのが「構造計算」です。
構造計算とは、建物そのものの重さや、屋根に雪が積もったときや家具を設置したときの重さなどによって建物がどう変形し、どう応力が生まれるのかを計算して安全性を確かめることです。
計算方法は2つ。壁のみの必要量とバランスを見る「壁量計算」と、基礎・床・屋根・構造材など全体を考慮して計算する「許容応力度計算」。許容応力度計算は費用と時間が掛かりますが、その分信頼できる計算方法と言われています。
たとえ耐震等級が同じでも、構造計算をしているかどうかによって耐震性能が大きく違ってくるので、家づくりの際は構造計算を行うことも大切なポイントです。
しかし、じつは戸建て住宅には構造計算が義務づけられていません。これは戸建て住宅が確認申請の手続きを一部簡素化する4号特例に該当するためで、建築士が設計した家ならば建築確認において構造計算などの審査が省略される特例です。ただし、これらの特例は見直され、2025年4月以降はすべての住宅に構造計算が義務づけられる予定です。
なお、棟匠では以前より全棟において許容応力度計算による構造計算を実施してきました。これからは全棟構造計算が義務になりますが、義務化前より構造計算を実施し、標準仕様に組み込まれている住宅会社の方が実績などを踏まえるとより安心できますね。
5.後悔しない家づくりのために、じっくり相談を
注文住宅を建てる際には間取りやデザインだけでなく、今回注目した耐震性や、気密・断熱性など住まいの性能についてもしっかり検討する必要があります。そしてもちろん、費用や住宅ローンなどのお金のこともきちんと整理して進めないと、失敗や後悔につながってしまうかもしれません。
今回ご紹介した耐震性能以外にも、はじめての家づくりには疑問や不安がつきものです。まずは担当者へ相談して、疑問や不安を1つひとつ解決しながら進めましょう。 そのうえで大切なのは、優先順位を決めることです。すべての希望を実現するのは難しいケースもあるため、ご家族でしっかりと話し合って優先順位を決め、何を優先するのかを整理してきちんと要望を伝えることが大切です。
<まとめ>無垢材や全館空調だけじゃない。「地震に強い」も叶える棟匠の家
棟匠ではお客様が安心して暮らせる家づくりのために、全棟にて構造計算を実施し、耐震等級3を標準仕様としています。(沖縄エリアは除く。茨城栃木エリアも、間取りなどの関係により耐震等級2となる場合があります。)また、制震ダンパーの施工実績も豊富ですので、地震に強い家づくりならおまかせください。
無垢材や全館空調はもちろん、間取り、デザイン、気密・断熱性、そして耐震と、お客様のご要望に合わせて1棟1棟建てられるのも棟匠の注文住宅の良いところです。まずは展示場へお越しいただき、お気軽にご相談ください。
棟匠の住まいの性能について詳しくご紹介した、こちらのページもご覧ください。